Swan & Lion – オープン10周年を迎えます!

今年の8月4日、スワン&ライオンは10周年を迎えます!楽しい時間は本当にあっという間ですね。

そこで今月のニューズレターでは、スワン&ライオンの始まりからの10年を、少し振り返ってご紹介したいと思います。

では、スワン&ライオンはいったいどのようにして始まったのでしょうか。日本に引っ越してきた当時、私は在宅勤務で映画会社に勤めていました。世界の映画祭やマーケットに何度も海外出張する機会があったのは楽しかったですし、それなりの特典でしたが、そんな華やかさとは裏腹に、おもな仕事は一日中パソコンに向かって契約の交渉をし、毎朝届く何百通ものメールに対応することでした。料理は私にとって息抜きであり、家から出て、当時住んでいた吉祥寺のスーパーや八百屋さんを見て回ったりしていました。そこで季節ごとに変わる豊かな日本の食材に興味を持ち、それらを使ってイギリスの伝統的なチャツネやピクルス、ジャム、マーマレードを作ってみることにしました。お気に入りのスーパーは鶴亀ランドで、掘り出し物の果物や野菜を探すトレジャーハントのようでした。このスーパーは実は数年前からイギリスのスーパーマーケット・チェーン、テスコの傘下に入っていたため、カリフラワーと一緒に、イギリスのダイジェスティブ・ビスケットも買うことができたわけなのです。

私が真剣に考えはじめた最初のレシピは、マーマレードでした。その頃から、夏みかんを探すのが毎年の習慣になりました。2月から3月にかけて、私は友人のマイケルと一緒に住宅街をサイクリングしながら夏みかんの木を探しました。マイケルは日本語が堪能で、持ち前の愛嬌で相手を説得してくれたんです。そしてマーマレードの瓶詰めと引き換えに、夏みかんを分けてもらったりしていました。マーマレードのレシピは本当にさまざまに試したのですが、一番気に入ったレシピが今の商品になっています。

当時の私は、試作中のさまざまなレシピをすべてノートに書き留めていました。味はもちろん、色や質感、その他にも重要だと思ったことはコメントを残しました。このレシピノートは今でも健在で、ときどき利用しています。このあいだ梅チャツネを作った際にこのノートを見直したら、細かなメモ付きのレシピを5種類みつけました。 2023年バージョンは、梅本来の酸味が際立った爽やかな仕上がりになっています。

これがそのレシピノートで、最初に書いた梅チャツネのレシピです。

こうした瓶詰めの商品は、日本でのビジネスとしても可能性があるのではないかと思い始めたのが2012年のこと。お花見やピクニック、ホームパーティーなどで日本の友人たちにチャツネやピクルスを味見してもらったところ、甘さとしょっぱさの組み合わせは日本人の口に合うはずと好評でした。そこで私はこのビジネスにチャレンジしてみようと決心し、ブランドデザインとネーミングに取りかかりました。ネーミングには苦労しましたが、まずはロゴデザインにフォーカスし、伝統的な英語でありながら、どこか軽快で楽しいものにしたいと思っていました。

こちらが、私が最初に作ったロゴのラフ。

そして紋章風のデザインにすることで、イメージが形になりました。このロゴには、私の歩んできた人生や理念、そしてブランドの起源が表現されています。私がネット上から集めたイメージを、才能あるイラストレーターのエリカが、まずは鉛筆画で具現化してくれました。Nuico Doll Studioのエリカはソフト・スカルプチャー・アーティストで、作品はこちらでご覧いただけます。 http://nuico.info/

そしてエリカのイラストは、プレアデス株式会社のグラフィックデザイナー香坂 弓によってデジタル化されました。ユミは音楽とファッションを専門とし、私のロゴ・デザインを見事に仕上げてくれました。彼女は、私の最初の商品である夏みかんマーマレードとトマトチャツネ、ピカリリ、スイートコーンレリッシュの商品ラベルもデザインしてくれています。www.thepleiades.net

では、スワン&ライオンのロゴについて、簡単に説明していきましょう。

  • ライオン – ライオンは中世からイギリスのシンボルとして使われてきました。
  • レゲエ・カラー – 私のレゲエ音楽への愛を表現しています。ライオンはまた、ラスタファリ・ムーブメントのシンボルでもあります。
  • 白鳥 – 日本に来る前、私が長年暮らしたオーストラリアのシドニーを表現しています。というのも、昔から大好きなオーストラリアン・ルール・フットボールのチームの名前が、「シドニー・スワンズ」だからです。白鳥は、私がオーストラリアで過ごした時間を象徴しています。
  • サウス・メルボルン・フットボール・クラブ – 白鳥がつけている首輪には、シドニーに移転する前のシドニー・スワンズの呼称「サウス・メルボルン・フットボール・クラブ=SMFC」と書かれています。
  • 平和の鳩 – 私のヒッピー気質を表しています。スティーブ・ジョブズはキャリアの初期に、あなたはギークかヒッピーかと聞かれ、ヒッピーだと答えました。考え方や価値観のことであって、ファンションのことではありません。
  • 自転車チェーン – 私のサイクリングへの情熱を表しています。創業当初から現在に至るまで、私の愛車(自転車)は、スワン&ライオンの運営に欠かせないものです。
  • 松の木 – 私の日本での生活を表しています。
  • 果物と野菜 – スワン&ライオンの最初の製品であるチャツネ、ピクルス、マーマレードを表しています。

では、ここでこの10年を写真で振り返ってみたいと思います。楽しい思い出がたくさんあるのですが、今思い出してもヒヤヒヤするものもw

2013年8月4日。スワン&ライオンの初めてのお客さまです。とうもろこしシレリッシュが売れました。夏の暑い日にはぴったりのチョイスです。

マーケットへの道のり

スワン&ライオンの初商品!

2013年10月。赤坂アークヒルズのマーケット。

初めて雑誌に掲載されました。Glitter magazine.

2014年4月。スワン&ライオンの最初のミートパイが登場! ローストチキンパイです。

2014年6月。勝どきの太陽マルシェに出店。

2014年7月。ナショナル麻布スーパーに初めて納品。

2014年10月。青山ファーマーズマーケットへ初出店。

2014年11月。スワン&ライオン初のクリスマスプディングを発売。

もちろん、ミンスパイも!

ブリティッシュメイド(渡辺産業株式会社)でのマーケットに初出店。現在に至るまで、いつもお世話になっています!

2015年、日本橋三越英国展での初のブリティッシュプレート。準備不足で完全に圧倒されてしまったイベント。なんとかやりきりました…。

……にもかかわらず、伊勢丹新宿店での英国展にもご招待いただき出店。2015年11月のことです。

英国展期間中破、こんな感じで一日に二回ほど、自転車でデリバリーしていました…。

その間にショップも建設中でした…!

2015年11月26日。スワン&ライオンのショップが九段南にオープン!疲労困ぱいでした(苦笑!)

お客さまの声を聞きながら、最初に作ったテイクアウトランチ用のサラダがこちら。

2016年3月。初のホットクロスバンズを発売。ホットクロスバンズは、もしかしたらいちばん苦労して編み出したレシピかもしれません。もちろん、今のレシピがベスト!

これまでさまざまなケータリングをしてきましたが、これは間違いなく忘れられない体験でした。都内の中心地を走るロンドンバスの中で料理の盛りつけ。揺れるバスのなかでのケータリングは冗談ぬきに難しかった!

2016年4月。スワン&ライオン初のスコーン。

日本橋三越のB1に初出店!2016年7月。

2016年7月。六本木ブリュードッグを貸し切って、初のサンデーローストのイベントを開催。たくさんのお客さまがローストビーフのランチを楽しんでくださいました!

コロナ禍までは、サンデーランチやクリスマスランチなど、たくさんのイベントをブリュードックで開催させていただいていまいた。ありがとうございます!また復活できますように。

オンラインショップがオープン。

2017年6月、中目黒でポップアップカフェを開催。このころ私はキオと結婚し、彼女は兼ビジネスパートナーに。彼女なしでは、今のスワン&ライオンはないかもしれません。

英国商工会議所(BCCJ)『Acumen』誌の表紙になりました!

BCCJのサポートには感謝してもしきれません。

2018年、店舗をいったんお休みし、Netflixの大規模な映画制作『Earthquake Bird』のケータリング仕事を引き受けることに。10週間のあいだ週に5日、130人ものスタッフとクルーに朝食と昼食を提供しました。

チャレンジングでしたが、同時にとてもやりがいのある仕事でした。

ネットフリックスのクルー。料理長のヒロシ(と彼の素晴らしいグリル)を筆頭に、働き者でいつも一緒にいて楽しいタツとユウヤ。泊まり込みで早朝から働いてくれました。
そして写真には写っていないですが、クライアントとのスケジュール調整やメニュー考案、食材調達に至るまですべてをオーガナイズしてくれたキオ。みんな、本当にお疲れさまでした!

そして2018年6月。現在のヘッドシェフ、スチュアートがスワン&ライオンに!

オンラインショップをリニューアル。ラインナップが増え、スワン&ライオンの商品を日本全国へお届けできるようになりました。キオの友人のTTが全面的に手伝ってくれました。感謝です!

2019年5月、美味しいルバーブを発掘! アークヒルズマーケットの主催者だった佐藤さんが愛知県に移住し、小さな農場を立ち上げました。日本ではなかなか手に入らない野菜や果物に特化したソル・ファーム。毎年、美しくて美味しいルバーブを届けてくださっています。

インスタグラムは@sol_farm_yatomi。

パイボックスのデザインを刷新。

人気を博しているアーティスト長場雄さんのイラストと、デザイナー岡本健さんによるパッケージングデザインで実現した贅沢な仕様。感謝しかありません!

2019年はラグビーワールドカップが日本で開催され、私たちはブリティッシュスクール東京の新しいスポーツ施設のオープニングでマスコットのレンとGに会うことができました。

2020年2月、スワン&ライオンのニューズレーターをスタート。

みなさん、いつも読んでいただきありがとうございます!

2020年3月、イギリスのパイ・ウィークを祝って、初めてのセールを開催。次の英国パイウィークは4年後の2024年です。

2020年4月、コロナ規制のため、またスタッフとお客様の健康と安全のため、店を一時閉めることに。

すべてのビジネスをオンラインに切り替え、ご自宅で楽しめるお食事用に新商品を展開しました。みなさまのサポートに圧倒されました。私たちのビジネスを救ってくれたのですから。本当に感謝しかありません!

2020年9月、まだコロナ禍でしたが、日本橋三越本店で開催された英国展に2週間にわたって出店しました。スワン&ライオンチームは、左からスチュアート、ユウコ、エンディ、ミカ! いつもありがとう!!

2021年の秋、私たちは小布施の素晴らしいブラムリーアップルに出会いました! 

毎年アップルパイを作っていましたが、ブラムリーのあの素晴らしい酸味を生かした新しいオリジナルレシピをどうしても見つけたいと思っていたのです……。

そして、スワン&ライオンオリジナルの「ポークパイ ブラムリーアップルソース入り」も誕生しました。

今年9月に開催される日本橋三越英国展のパート2で、またお目見えする予定です!

2022年6月、エリザベス女王のプラチナジュビリーを祝いました。私たちイギリス人にとって、70年にわたり国民のために尽くしてきたエリザベス女王の偉大な功績を祝う特別な日でした。

そして2022年9月にエリザベス女王が逝去され、2023年5月、チャールズ王戴冠式の祝典を祝いました。

新しい時代のはじまりです…

そして、ついこの間、イギリスプレミアリーグの優勝者であり、欧州チャンピオンでもあるマンチェスター・シティのイベントでケータリングをしてきました。マンチェスター・シティが東京タワーの下に設置したキッチンカーで、パイやチップス、マッシュピー、グレービーソースといった伝統的な英国サッカー料理を作るお手伝いをしました。温かい紅茶も! そしてマンチェスター・シティの3人の選手、アーリン・ハーランド、ジョン・ストーンズ、コール・パーマーがファンに料理を振る舞いました。猛烈に暑かったですが、とても楽しかったです!

10年の軌跡をざっと振り返ってみましたが、これもすべて、この10年間を支えてくれたロイヤルカスタマーとサポーターのみなさまのおかげです。心から感謝します。これからも最高のブリティッシュをお届けできればと思っています!

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